プロは事前に可能性を考える。トレードの「決定ボタン」を押す前に確認すべきこと

通常の考え方や信念は、なぜ間違いに至るのか

「分析をしたから、次に何が起きるか分かる」という考え方や信念がどうして非常に危険なのだろうか。

分析をした結果、自分は「分かっている」といったん納得すると、 このトレードはうまくいかないと気づくか認めるのは、最初に大損をしないかぎり不可能とは言わないまでも非常に難しくなる。

「成功するには、損切りは早く、利は伸ばせ」という金言があります。

さて、自分は正しいと納得したあとにしかトレードをしないのなら、どうやって損が少ないうちに切ることができるだろう。

自分の分析が正しいという証拠を集めるのは、「確実に」勝つためだ。

問題は、分析をして確実に勝てると思って仕掛けた以上、考える過程から損をする可能性を排除してしまうところだ。

損をする可能性を考えなくなってしまった場合、そこからどう考えれば自分の考えを変更できるのか、それが大事である。

  • ①うまくいっていないトレード、
  • ②勝てる可能性が少なくなったトレード、
  • ③仕掛けた当初から、まったく勝ち目がなかったトレード

以上の事を見分けるために、何を利用したらよいのだろう。

言い換えると、あることを期待しているのに、相場がそれとは違う動きをしているとき、どうすれば期待どおりの結果を得ていないと分かるのだろうか。

トレードがうまくいっていないと気づくためには、トレードがうまくいかない可能性もあると純粋に信じている必要があるのだ。 実際、知識不足の人がトレードで犯す最も多い過ちは、支払う可能性があるコストを仕掛ける前に定義していないことだ。

ここで定義するコストとは、仕掛け値から自分の考える勝ちトレードの動きではないと判断するまでに相場が逆行した価格までの差額である。

典型的な知識不足の人にとって、損切りに使える唯一の材料は苦痛である。

つまり、自分の判断は間違っていると認める苦痛よりも、もう一ドル損する苦痛のほうが大きくなったときに、思惑どおりの動きをしていないとようやく認めて、どれほど頑固かにもよるが、そのことを完全に受け入れることができる。

そのときには、含み損が悲惨なほど膨らんでいることもある。少なくとも必要以上に、つまり、プロトレーダーの考え方を知っている場合よりもはるかに膨らんでいるだろう。

一方、プロはそれ以上に逆行「すべきでない」価格を、例外なく常に仕掛ける前に決めている。

適切なコストを計算するためには、見極めにかかるコストを考えると、勝てる可能性は極めて低くなったため、たとえ損を確定させてでも、資金管理の点からはそれ以上続ける価値がない、と判断する最適な価格を見つけておかなければならない。

いかに分析がうまくとも、自分が負けているときにそれに気づかなければ何の意味もない。資産曲線がめちゃくちゃになるほど破滅的な損失を被る可能性は常にあるからだ。

これが、プロが学んだのと同様に、あなたがこれから学ぶことだ。

例えば、分析がうまくいって、一〇回続けて勝ったとしよう。

それでも、その次のトレードがうまくいっていないことに気づかなければ、前の一〇回分の利益をすべて吐き出したうえに、さらに損をする可能性だってあるのだ。

その場合、合計では一〇勝一敗という比率で、確かに分析が優れていることは示される。 だが、最終的な純利益はほとんどないかゼロだろうし、さらに悪ければ、一〇回のトレードで得た利益以上の損を一回のトレードで出して、赤字になる。 トレードでの負けは常に予想外だ。

しかし、マーケットではいつ何が起きても不思議ではない、いつであれ値動きに影響するあらゆる可能性を考慮できる完璧な分析法はないということになる。

言い換えると、気づいたら負けていたという状況を避けるために、事前にできることは何もないということだ。

しかし、私たちができることもある。

トレードがうまくいっていないと気づいたときの対応策を常に考えておくことだ。 また、検討中のトレードで勝つ確信を得るために証拠集めをしたうえで、そもそも勝てないと思う理由があればトレードをしないだろう、と自分を正当化するのは必ずしも適切な準備とは言えない。